その十分後、ジェラールが魔獣の保護獣舎に行くと、ケープを深く被って肩にラタトスクを乗せたミレイナが、三匹のフェンリルと一匹のドラゴンを後ろに引き連れ出かけようとしているところだった。

「どこへ行く?」

 ジェラールが声を掛けると、ミレイナは驚いたようにこちらを見た。ケープを目深に被っているせいで、視界が狭く気が付かなかったようだ。

「ジェラール陛下! ああ、びっくりしたわ」

 ミレイナの後ろに付いていたフェンリル達が飛び出してきて、ジェラールの周りを嬉しそうに回る。
 ミレイナは目深に被っていたケープを両手で整えると、益々目深に被った。こんなに目深に被って、視界の邪魔にならないのだろうかと余計な心配が湧くほどだ。

「この子達のお散歩に行こうと思います。今日は、ラドン──このドラゴンを陛下が拾った辺りにいこうと思うのです。もしかしたら、親ドラゴンが見つかるかもしれないから」

 そういうと、ミレイナは少し屈んでまだ腰の高さほどしかない小さなドラゴンの頭を撫でる。