ミレイナはうーんと考えて、首を傾げる。

「そうですね……。地面に掘った巣穴の中で寝ていると思います」
「そうか。濡れているわけではないのだな?」

 ジェラールの一見冷たく見える表情が、ホッとしたように緩むのがわかった。

(もしかして、まだララのことを心配しているのかな)

「もしかして、以前探していたと仰っていたうさぎを心配されているのですか?」

 ジェラールは答えることなく、獣舎の入口部分、雨の打ち付ける地面を眺めている。

「きっと今頃、気持ちよくお昼寝して幸せな夢を見ていると思いますよ」

 ミレイナが笑顔でそう声を掛けると、ジェラールの口の端が少しだけ上がる。

(あっ。今、わらった?)

 すぐに無表情に戻ってしまったが、ララに見せたようなジェラールの自然な笑顔に、ミレイナも思わず笑みを溢した。