◇ ◇ ◇

(一緒に遊びすぎて、随分遅くなっちゃったな)

 その日の夕方、そろそろミレイナが帰ろうと思った頃、魔獣舎の外が俄に騒がしくなった。
 何かと思って外を覘くと、遊び場で遊んでいた魔獣達が外と隔てる柵の一角に集まってじっと外を見つめている。

[ゴーラン! ゴーラン!]
[ジェラールの匂いもする!]

 口々にそう言ってお尻を上げて尻尾を振り、前足を下げるという嬉しいときのポーズを取っている。

(ジェラール陛下とゴーラン?)

 ミレイナは魔獣達が見つめる先に視線を移す。そこには確かに、大きな魔獣を連れた人影があった。
 ミレイナは慌てて自分の耳と尻尾を消す。フードを被っているとはいえ、誰かに知られたら大変だ。