……いない。予想はしてたけど。


なんで職員のくせに職員室にいないのよー!


戻ってくんのかな? それとももう部活に行っちゃった?



「あら春瀬さん? 誰かに用事?」



声をかけられて振り向くと、国語の先生が不思議そうに私を見ていた。



「あ、あの、白石先生を探してるんですけど」


「白石先生ねぇ……たぶん部活に行かれてるわよ?」


「そうなんですね。ありがとうございます!」



あんの……自分が呼び出しといて!


まぁいいや、とりあえず体育館行こ。



体育館のドアから覗いてみると、練習試合の審判をする白石先生を発見。


でも、入れそうにない……。



「あれ、春瀬?」



汗を拭きながらやってきたのは黒木陸先輩。


白石先生に負けず劣らずのイケメンで、男子バレー部のエースだ。


朝の通学電車が一緒になることが多く、話しかけてくれるようになった。



「どしたの? 誰かに用?」



さっきも聞いたようなセリフだな……と思いながら、先輩に向き合う。



「白石先生に、ちょっと……」


「白石先生? なに、春瀬もファンなの?」



はい!?


否定しようと先輩を見ると、想像していたニヤニヤ顔ではなく真顔だったので、少したじろぐ。



「なわけないじゃないですか。呼び出されてて……」


「黒木、なにサボってんだ? ……って、春瀬、こんなとこで何してんだよ」