そして今、念願のパンケーキを目の前に目を輝かせている美波と私。


見た目も可愛くて美味しそうで、写真を撮りまくっていると、そのスマホが突然鳴り出した。


画面に表示されているのは、『白石 悠斗』の文字。


そういえばこの前、連絡先交換したんだっけ。


……このタイミングってことは、先生怒ってるよね?


でも、美波の前で出るわけにもいかないし……



「ちょっと、電話でてくるね」


「え? ここで話しなよ、私は気にしないし」



立ちかけた私に不思議そうにそう言う美波。



「いや、でも……」


「なに? なんか私に聞かれたらまずいことでもあるの?」



怪訝そうにそう言われてしまっては、席を立つ訳にもいかない。


なるべく先生ってバレないように喋う……。



「……もしもし」


『出るの遅い。急用って、何?』



電話越しに聞こえる先生の声は、明らかに不機嫌だ。



「き、急用?」


『俺はお前に頼んだのに、何別の奴よこしてんの? 椎名に聞いたら春瀬は急用だって言ってたけど。なんだよ、急用って』



うぅ……美妃、私は急用だってことにしてくれたのね。でもバレてしまっている……。



「美妃はそこにいるんですか?」


『いや、椎名はもう帰したよ。手伝ってもらうことも特に無いし』


「はぁ!? じゃあ私を呼んだのって……」


『別に? なんか適当にこき使おうかと思ってた』


「こき使うって……」


『だって、今日俺の話聞いてなかったのは事実だろ?』


「そうですけど……」



それを言われたら何も言えない。



『で、お前は今どこにいるんだよ?』


「……美波とパンケーキ食べてます」


『……お前、友達に押し付けて自分はパンケーキとか、最低だな』


「だって、それは美妃が……」


『あぁ……想像はつくよ』



絶対言い訳するなとか言われると思ったのに、想像はつくって……どういう意味だろう。



「電話、誰? 私の知ってる人なの?」



自分の名前が出たことに反応してか、美波がそう聞いてくる。



「え? あ、えっと……」


『何? 佐伯に怪しまれてんの?』


「……はい」


『佐伯はお前の親友なんだろ? じゃあ別に隣に住んでるってことくらい言ってもいいんじゃねぇの?』