朝礼の時間が近付き、教室の空席が少なくなってきた頃、後ろの方から女子の話し声が聞こえてきた。
「まじで担任嬉しすぎるんだけど!」
「ね〜! 2年生だから修学旅行もあるし、いっぱい絡めるよね!」
「先生とお泊まりとか、やばくない!?」
「ちょっ、その言い方は語弊あるって〜」
担任の先生の話のようだった。
そういえば、担任の名前は各クラス玄関の掲示板に書いてあったはずだ。
美波たちと同じクラスになれるかどうかで頭がいっぱいだったからそこまで頭が回らなくて見てなかったけど、そんなに人気な先生なのだろうか。
まぁ、ちゃんと仕事してくれればそれでいいや。
そう思ってぼーっとしながら教卓の方を見ていると、ガラガラっとドアが開いて、高身長の男の人が入ってきた。
って……白石先生!?
さっきまで騒がしかった教室が一気に静まり返り、先生が前に立って話し出すのを待つ。
「2年2組の担任をさせて頂くことになりました! みんな知ってるとは思うが、数学担当の、白石 悠斗です。1年間よろしくな!」
先生の言葉に、みんなが「よろしくー」と返す。
そして、なんかもう……女子の目が、ハートだ。
そっか、白石先生が担任になる可能性は考えていなかった。
いや、別にいいんだけど。
でも、先生とちゃんと会ったのって、買い物して一緒にご飯を食べた日以来かもしれない。
あれからも毎日作ってはいるものの、玄関先で手渡すだけってことが多かったから。
あの日、結局先生は私が作った人参のバターピラフを完食してくれた。
だから私は先生のお願いをきかずに済んだんだけど。
「うまっ」て言って向けられた驚いたような笑顔に不覚にもドキッとしてしまったことは、絶対に秘密。
あんなに嫌がってた人参を、本当に美味しそうに食べてくれた事が嬉しかった。
「……せ、春瀬」
名前を呼ばれていたことに気づき、前を見ると、クラスメイト全員がこちらを見ていた。
「……え?」
「自己紹介。お前の番だけど」
先生に呆れ顔でそう言われて、ハッとして立ち上がった。
そうだ、今は最初のホームルームで自己紹介中だったんだ。
やばい、完全にぼーっとしてた。
「春瀬 結那です。えっと……」
とりあえず名前を言ったけど、あと何を言えばいいんだろう。
先生の話聞いてなかったから分からない……。
「趣味とか好きな物とか、何でもいいから言え」
隣から蓮が小さな声で教えてくれる。
「しゅ、趣味は料理です。簡単なものなら大体は作れます!」
最後に、よろしくお願いします、と頭を軽く下げると、拍手が起こった。
はぁ、なんとか乗り切った……。
と、ほっとしたのも束の間で。
「じゃあ春瀬は、俺の話聞いてなかった罰として、放課後手伝いに来ること」
そう言ってにっこりと笑う白石先生。
……目が笑ってないのは気のせいでしょうか。
でも、今回ばかりは悪いのはこっちだし、私は渋々頷いた。
「まじで担任嬉しすぎるんだけど!」
「ね〜! 2年生だから修学旅行もあるし、いっぱい絡めるよね!」
「先生とお泊まりとか、やばくない!?」
「ちょっ、その言い方は語弊あるって〜」
担任の先生の話のようだった。
そういえば、担任の名前は各クラス玄関の掲示板に書いてあったはずだ。
美波たちと同じクラスになれるかどうかで頭がいっぱいだったからそこまで頭が回らなくて見てなかったけど、そんなに人気な先生なのだろうか。
まぁ、ちゃんと仕事してくれればそれでいいや。
そう思ってぼーっとしながら教卓の方を見ていると、ガラガラっとドアが開いて、高身長の男の人が入ってきた。
って……白石先生!?
さっきまで騒がしかった教室が一気に静まり返り、先生が前に立って話し出すのを待つ。
「2年2組の担任をさせて頂くことになりました! みんな知ってるとは思うが、数学担当の、白石 悠斗です。1年間よろしくな!」
先生の言葉に、みんなが「よろしくー」と返す。
そして、なんかもう……女子の目が、ハートだ。
そっか、白石先生が担任になる可能性は考えていなかった。
いや、別にいいんだけど。
でも、先生とちゃんと会ったのって、買い物して一緒にご飯を食べた日以来かもしれない。
あれからも毎日作ってはいるものの、玄関先で手渡すだけってことが多かったから。
あの日、結局先生は私が作った人参のバターピラフを完食してくれた。
だから私は先生のお願いをきかずに済んだんだけど。
「うまっ」て言って向けられた驚いたような笑顔に不覚にもドキッとしてしまったことは、絶対に秘密。
あんなに嫌がってた人参を、本当に美味しそうに食べてくれた事が嬉しかった。
「……せ、春瀬」
名前を呼ばれていたことに気づき、前を見ると、クラスメイト全員がこちらを見ていた。
「……え?」
「自己紹介。お前の番だけど」
先生に呆れ顔でそう言われて、ハッとして立ち上がった。
そうだ、今は最初のホームルームで自己紹介中だったんだ。
やばい、完全にぼーっとしてた。
「春瀬 結那です。えっと……」
とりあえず名前を言ったけど、あと何を言えばいいんだろう。
先生の話聞いてなかったから分からない……。
「趣味とか好きな物とか、何でもいいから言え」
隣から蓮が小さな声で教えてくれる。
「しゅ、趣味は料理です。簡単なものなら大体は作れます!」
最後に、よろしくお願いします、と頭を軽く下げると、拍手が起こった。
はぁ、なんとか乗り切った……。
と、ほっとしたのも束の間で。
「じゃあ春瀬は、俺の話聞いてなかった罰として、放課後手伝いに来ること」
そう言ってにっこりと笑う白石先生。
……目が笑ってないのは気のせいでしょうか。
でも、今回ばかりは悪いのはこっちだし、私は渋々頷いた。

