「だってぇ〜、お姉ちゃんがこれがオススメって言うから……」
悪いけど美波のお姉ちゃんの性癖を疑うわ。
「……まぁそれは1000歩譲ってよしとして。まずなんでこんな動画見ようなんて言い出したの?」
「だって……たっくん家にこんな本とかDVD隠されてるの、見つけちゃったんだもん」
そう言って、不貞腐れる美波。
ああ、なるほどねぇ……。
たっくんとは、美波の彼氏、小湊拓海くんのこと。
隣のクラスの男子で、美波とは図書委員で知り合ったらしい。
その小湊くんがエロ本(?)等を持っていたから、ヤキモチ妬いちゃった美波は自分も見てやる! と、大学生のお姉ちゃんに色々教えて貰った、と。
「……でも、そんな私を巻き込まなくても。せめて自分のスマホで見なよ」
そうなのだ。実はこの動画、流してたのは私のスマホ。
「だって、検索履歴残るじゃん! もし誰かに見られたら……って思うと怖くない!?」
いや、私のスマホはいいんかい。
「消せばいいじゃん履歴くらい」
「いや……消したらほんとにヤラシイことしてるみたいだし……」
……いや、してるから。だいたいこれ、R18サイトだから。私たちまだ18なってない。
「そんな恥ずかしいなら見なくても……」
「だって、たっくんが……」
そう言ってまた、むすーっとした顔を作る。
「男なんて、みんなそんなもんじゃないの? 誰だって持ってるでしょ、エロ本くらい」
私がため息まじりに言った次の瞬間、目の前から私のスマホが消えた。

