「おい、いつまで頭下げてんだよ。謝罪に来たんじゃないんだから、頭上げろ、春瀬」



恐る恐る顔を上げると、そこに立っていたのはやはり……白石先生。



「い、いつから気付いて……」


「インターフォン越しに見た時から」



まずい。


これはまずい。


冷や汗が止まらない。


なにがまずいかって、学校の校則……一人暮らしは禁止だったはず。


ここは誤魔化すしか……。



「お前、一人暮らしなんだろ?」



既にバレている……!!



「なんで知って……」


「管理人さんに聞いた。一人暮らしの女の子が引っ越してくるのよーって。まぁ、うちの生徒だとは思わなかったけど」



か、管理人さん……なんで言っちゃったの……。



「春瀬? うちの高校の校則、知ってるよなぁ?」



ですよね。


そう来ますよね。


もう、こうなったら……!!



「お願いします! なんでもするのでこの事は学校側には黙ってて下さい!」



さっきよりも勢いをつけて頭をさげる。


これでダメだったら土下座しよ。



「……へぇ? なんでも、してくれんの?」


「はい! なんでもします! だからどうかこの事は……」


「ふーん? なんでも、ねぇ?」



うぅ、絶対何か企んでる。


なんて言われるんだろ。奴隷になれとか言われたらどうしよう。


いや、ここはなんでもしますって言っちゃった手前、何言われても従わないとだよね。


と、1人でぐるぐる考えていると、突然先生が近付いてきて、耳元で囁かれた。



「ほんとに、なーんでも? してくれんの?」



ん?これって、もしかしなくてもやばい状況?


先生の雰囲気がなんか色っぽいんですけど。



「は、はい……」



自分の顔が赤くなっていくのが分かる。


だってこのままじゃ……!



「ほんとに? じゃあさ……」



先生の次の言葉を待って、ギュッと目を瞑る。


なんか変なことになってるけど、この状況なんなの!?