「春香!おはよう。」
「桜太!おはよう。」
『おはよう』この挨拶を交わすのは一体何回目なんだろう。
桜の舞い散る4月。私の好きな春の季節。
あと何回、君と春を迎えることができるのかな。
「俺達、もう3年生か…。春香と出会って15年か。」
「そうだね。桜太と出会って15年も経つんだね。」
そう。私たちは幼なじみなのだ。幼稚園の頃からずっと一緒で親同士も仲がいいほど。
でも、私だけは桜太のことをただの幼なじみとは思っていない。
私は長年、桜太に想いを寄せている。きっと桜太はただの幼なじみぐらいにしか思ってないだろうけど、私は物心着いた時からずっと桜太が好き。
でも、きっと『恋人』として桜太の隣にいることは出来ない。
その理由は、私が中学3年生の時、桜太が私のいない所で友達に春香のことが好きなのかと冷やかされているところを目撃した。
私は少し期待した。でも、桜太の口からは期待以下の答え。
「春香のことなんて好きなわけないじゃん。春香はただの幼なじみ。」
私は失恋した。
だから私は、『恋人』として隣にいることが出来ないのなら、『幼なじみ』として桜太が彼女を作るまでは一緒にいようと思った。