花鎖に甘咬み




「〈赤〉の前のNo.2が真弓で、今は、花織さんってことだ」

「おい、まだそこまで話してねえよ」

「え? だって、花織さんがそれっぽいこと言ってたもん」

「よう覚えてんな」

「記憶力には自信があるんですーっ」




ふうん、と真弓が面白そうにしている。
「やっぱ頭は切れんのか」とかなんとか呟きながら。


それはそうとして、またひとつ疑問が湧き上がってくる。



「それじゃあ、真弓と花織さんって、仲間ってことになるよねっ?」

「ああ。“元” な」

「でも……いくら“元”だとしても、あんな容赦なく襲ってくるなんてこと」

「アイツは俺に恨みがあるんだろ」

「恨む? どうして?」



純粋に首を傾げた私に、真弓はすっと目を細める。



「簡単な話。俺が “裏切り者” だからだ」

「裏切った……の?」

「〈赤〉だろうが〈白〉だろうが、抜けるっつうのは、そういうことになんだよ。あの街ではな」