花鎖に甘咬み



「ちとせ」


何をすることもなく、真弓の部屋なのに勝手に座るわけにもいかずただぼーっと突っ立っていたら。


「お前も脱げ」


有無を言わさない口調で、突然命じられて。
考えることコンマ3秒。

のち。



「ぬっ!?」

「だから、脱げって」

「ふ、ふく……」

「服以外に何を脱ぐんだよ」



あたりまえのような顔をしてそう言うけれど。


さすがに、さすがに、これは警戒する。

だって、“脱げ” なんて……!
口酸っぱく言われ続けてきたんだもん、そういうコトを言ってくるのはあぶない人だから逃げなさいって……!



「なに警戒してんだよ」

「と、取って食われるかも……って」

「……とんだ被害妄想癖だな。見境なく食い散らかしたりしねえから安心しろよ」

「……ほんと?」

「食うつもりでお前のこと拾ってんなら、今頃とっくにお前の足腰使いもんになんねえんだわ」

「〜〜っ!! ばか!!」




IQ2の抵抗をする私を、真弓は鼻で笑う。