花鎖に甘咬み



「っ、な、ひゃっ!」

「ちとせ?」

「は、はだか……っ!!!」



振り向くと、真弓が上半身ハダカになっていた。

なんで脱ぐの!?!



肌色の面積の広さが、生々しくて、思わず目を逸らす。

目に毒だ、なんか、イケナイものを見てしまったような。




「上脱いだくらいで、なに騒いでんだよ」

「なんで脱ぐのっ!?」

「いや。汗でベタベタしてふつーに気持ちわりーじゃん」

「う……そうかもしれなくても、今! ここで! 私の目の前で脱がなくていいよねっ!?」

「なに慌ててんだよ。別に普通だろ、なにも下半身露出したわけでもあるまいし────ああ、さてはお前」



真弓の目が嗜虐的に細まる。

もう覚えた。
真弓がこういう目をするときは、私をからかって遊んでいるときなんだって。




「男に免疫ないのか」

「へ……め、めんえき……?」




真弓の指先が私のこめかみに急にふれて、それから、目尻、頬、顎先へとつつつ……とすべらせていく。

ぞわぞわする感覚に、きゅ、と目を閉じると。



「なるほど。マジで慣れてないのな」

「さっきからなに言ってるかぜんぜんわかんない……」

「そーいやお前、一応オジョーサマだったか」




箱庭で蝶よ花よと育てられてきたんだもんな、なんてぶつぶつ呟く真弓の意図がよめない。