花鎖に甘咬み



愛おしいものを見る目つきで、真弓は私の頭をそっとなでた。

たまらなくなった私は視線で「もう終わり?」とねだってみるけれど。



「これ以上は、抱きたくなるから無理」

「……っ!」

「抱けねえ体っつうのも不便だな」



飄々とした顔で、あけすけなことを口にする。

恥ずかしくなって、耐えきれず軽く睨むと、真弓はいたずらに口角を上げて。



「怪我が治ったら……、覚悟しとけよ?」



真弓の意図するところがわかってしまって、ぶわ、と首まで赤く染めた私に、真弓はくつくつと喉を鳴らして笑った。

それから、ふいに、噛みしめるような表情になって。



「もしお前を失ったら今度こそ生きていける気がしねえな」



なんて、言うから。

真弓の後ろ首をぎゅっと抱えこんで、額と額をこつんとぶつける。

至近距離で目を合わせると、真弓の瞳いっぱいに私が映っていて。



「大丈夫だよ。私が、真弓のことを離さないもん」



真弓が、目を見開く。
そして、嬉しそうに笑って。



「ちとせが言うなら、信じられるな」




私と真弓の物語はハッピー “エンド”じゃない。
終わりじゃない、ここが、はじまりだ。


終わらない物語の続きへと、まだまだページを捲っていく。

いつか、幕が降りる、そのときまで。




「俺も、離さねえよ、絶対」



【番外編 ◆ 終わらない物語の続きへと】- fin.