〈薔薇区〉には3つの勢力が存在する。
〈赤〉、〈白〉、それから〈黒〉。
それぞれの力が均衡に保たれているのが現状で────そして、真弓を〈外〉に連れ出すにあたって、敵となるのが〈黒〉だ。
彼らは〈薔薇区〉の管理の一端を担っていて、侵入や脱走にはとりわけ厳しい。
そして、そんな〈黒〉に真っ向から対抗するなら、〈赤〉陣営だけでは人手が足りない。
となると、味方につけるのは〈白〉……つまり、今目の前にいる純圭さんしか。
じ、と見つめると純圭さんはわずかに目を逸らして。
「〈猛獣〉のどこにそんな価値を見出す?」
「え?」
「貴様がそこまで〈猛獣〉にこだわる理由はなんだ? それほど執着するほどの価値があの男にあるとは思えないが」
トゲをもった純圭さんの言葉を、脳内で噛みくだく。
「ええと、まず、真弓は〈猛獣〉なんかじゃないです。訂正してください」
「……」
「それから、真弓の価値、は」
価値?
ありすぎて、わからない。不器用な優しさも、ときおり見せてくれる柔らかい笑顔も、必死に隠そうとしている繊細な心も、どれも、失いたくないもので……それを、全部ひっくるめると。
「っ、好き、なんです」



