花鎖に甘咬み



今までかたくなになっていて見えていなかっただけで、目から鱗がほろりと落ちる。改めて振り返ると、腑に落ちるものがあった。



「愛されて、なかったわけじゃ、ないのかもしれない……」

「……」

「嫌いっていうのも、ほんとうは」



苦手なのは事実だ。
お父様の考え方はどうしても理解できない。


けれど、“嫌い” とは違うのかもしれない。



でもこんなことに今さら気づいても、もう確かめようがない。

お父様とはもう会うこともないのだから。



「そうか」



真弓はこちらを見ないまま頷く。
淡白な相槌に、疑問が湧いて。



「お父様のことを聞いて、どうするの?」

「確かめただけ」

「何を?」

「さーな」



はぐらかして口角を上げた真弓に嫌な予感がする。


やっぱり今日の真弓は、おかしい。
なにか隠してる……よね?

どくん、と胸騒ぎしたそのとき。



「マユマユ」

「っ?!」