花鎖に甘咬み




「俺がいないところで、お前がどうこうされてるかと思うと気が変になるかと思った。他の男がちとせに近寄ってくるとか触るとか、なんか、想像したら普通に無理だし、腹立つ」



自らの髪をくしゃりとかき上げた真弓は、私をじっと見つめて。



「倉科って女無理だったよな」



目を細める。




「そんな奴にアッサリ気に入られてんじゃねー」



純圭さんが素手で触れた、私の喉元を真弓の指がそっと撫でた。




「……気持ちはわかるけどな」





小さく呟いた真弓は、顔つきをサッと切り替える。


ついさっきまで吐き出していた甘いわがままみたいな言葉なんか、幻だったかのように薄く口角を上げて。





「ってわけで、どうにか切り抜けんぞ、コレ」

「どうにか、って……!」




そんなテキトーな。

わたわた慌てふためく私に、真弓が後ろ手になにか手渡す。


受けとったそれは、ひんやりしていて。




「いいから、ちとせはそれ振り回しとけ。護身にはなるだろ」




鉄パイプだ。


さっき青葉さんが落としたものを、いつの間にか拾っていたらしい。武器としては、使えなくはないけれど……。




「でも、これ、もし真弓に当たったら大変なことに……」

「安心しろ。それくらい避ける」

「ほ、ほんと? 怖いんだけど」