花鎖に甘咬み



え……。

思わず思考が停止してしまう。



『ひとりで生きてひとりで死ぬ』────って、真弓、が?

それが、真弓の、宿命?



「……っ」



ぼんやりしている間に、青葉さんがそばに戻ってきていた。

青葉さんの腕が私を捕らえるべく、すっと伸びるけれど。




「触んな」




後ろに目でもついているのかと思うスピードで、真弓が私を囲う。真弓は苛立たしげに、「はー……」と息を吐き出した。


ここまであからさまに気がたっているのは、はじめて見る。




「珍しく腹立ってんだよ。心底不愉快なんだわ」




真弓が壁に手をつくと、派手にダンッと音がした。

びく、と肩をふるわせた私。触れる真弓の片手がなだめるみたく動いた。




「わかんねえ? 許可なくちとせに触んなって話なんだけど。ちとせに手ェ出した責任はきっちり取ってもらわねえと割に合わねんだよな」




純圭さんと青葉さんが息をのむ。

地に横たわったままのミユキさんも目を見開いた。





「あー……クッソムカつくな。シチュー食いそびれたし」

「はあ?」




青葉さんが怪訝に顔をしかめる。

私は、頭のなかでシチュー鍋のことを思い浮かべた。


そうだった、シチュー。




「っつうわけで、さっさとくたばってくんねえ?」