花鎖に甘咬み




「あ……」



口封じに突っ込まれていた棒つきキャンディを真弓が引き抜いて、ガリッと噛み砕く。


間接キス────なんて考える余裕もなく、真弓の腕が私を椅子から立ち上がらせる。ずっと同じ姿勢で固定されていたからか、急に立ち上がると、くらっと目眩がして。




「────っと。おい、大丈夫か」




視界が反転する前に、真弓が正面から抱きとめてくれた。




「まゆ……み」




真弓がいる。ちゃんと……ここに。


腰に回った手の、乱雑な力加減が真弓そのもので。

急にどっと、肩から力が抜けていく。

うそみたいに、ふっと涙腺がゆるんで、視界が滲んだ。




「……? ちとせ?」

「……っ」




虚勢を張って、純圭さんたちにキャンキャン噛みついて、それでなんとなく大丈夫な気がしていたけれど、ほんとうは全然大丈夫じゃなかったんだ、私。



なけなしの勇気を振り絞っていただけで、ほんとうは不安で不安でたまらなかったこと、真弓の顔を見て、ようやく思い出せた。



……真弓がいるだけで、なんで、こんなにもほっとするんだろう。




「真弓、ありがとう……」

「あ?」

「助けに来てくれたんだよね? こういう面倒なこと、嫌そうなのに、わざわざ」

「いや……。お前のためじゃねえけどな、別に」

「え……?」



きょとん、とする。

真弓はなぜか、苦い顔をした。




「俺は、ただ────」