花鎖に甘咬み



「……っ」




手足を拘束されていることも忘れて、思わず立ち上がりかける。


前のめりになって、そこで手首と足首に紐が食いこんで、そうだった、と置かれている状況を思い出した。



ほかのことにあたまが回らなくなっていた。

真弓が視界に入った瞬間から、思考回路のなかが真弓でいっぱいで。



ついでに、純圭さんに突っ込まれたままのキャンディがじゃまで喋ることもできない。



もどかしくて、きゅ、と眉を寄せると。

真弓の瞳が苛立たしさを増したような気がした。




「……クッソ腹立つな」




真弓が小さくなにか呟いた。

そして、大股でつかつかとまっすぐこちらに歩み寄ってくる。


それを阻んだのは青葉さんだった。




「まさか、こんなんで〈猛獣〉が釣れるとは、俺は思ってなかったけど」




青葉さんはちらりと視線を私に向けつつ、どこに隠し持っていたのか物騒な鉄パイプを手にする。


武器にするつもりなのだろうか。
あんなの、まともに食らったら────。





「まあ、結局純圭さんの言うとおり、お前はのこのこやって来たわけだ。〈白〉の巣窟に」