花鎖に甘咬み




「んん、う」


甘ったるい砂糖の塊で、言葉を封じられる。
純圭さんは冷えきった声で。



「駒は駒らしく黙ってろ」



吐き捨てて、キャンディーをさらに押しこんでくる。

喉がつっかえて、苦しい。



「……っ、ぅ」



目の前にある純圭さんの指。
薬指の白薔薇を睨みつける。

喉奥の苦しさに、またえずきかけて、ちょうどそのとき。




────ガンッ。




けたたましい衝撃音が響く。
部屋の中……じゃない、外からだ。

間髪入れず、ガンッガゴンッと連続で金属音が鳴り響いた。その音はだんだんと近づいてくる。


な、なに……?



「来たか」



不安に思う私とは正反対に、扉の方をちらりと見た純圭さんは、小さく呟くだけだった。それから、こう続ける。



「夜明けまではかかると思ったが、予想より随分早かったな」

「……?」



どういう、意味。

ぜんぜん状況が理解できない。


目を白黒させる私をよそに、青葉さんとミユキさんはそれぞれ立ち上がって、あたりに視線をめぐらせた。まるで誰かの侵入を警戒するようなその行動に、私まで身を縮こめる。



────ガゴンッ。