「っ、けほっ、けほ……っ」
激しく咳き込むと、その反動で手首を縛っている紐が肌に食いこむ。うう、痛い。
もう少しでほんとうに酸素が足りなくなるところだった。
まだ視界がくらくらしているし、喉元に純圭さんの指が強く絡まる感触が残っている。
今更、純圭さんの恐ろしさを思い知って、口がカラカラに渇いていく。そういえば、ずっと水分をとっていない。
「あ、の……」
震える声を上げると、青葉さんがちらりとこちらを向く。
「お水……もらっても」
「あー、はい」
どこから取りだしたのか、青葉さんがペットボトルの水を取り出す。縛られていて自分で持てないわたしの代わりに、キャップを開けて、口につけてくれた。
ごくごく、と勢いよく飲み干して。
水が口のなかを潤して────。
「うっ!? なにこれ甘……っ」
訂正する。
水だと思ったのは水じゃなかった。
舌にふれたその液体は、口のなかがびりびりするくらい甘くて。甘すぎて、潤うどころじゃない。
なにか変なものでも飲まされたのかと疑いの眼差しを青葉さんに向けると。
「悪い。ソレ砂糖水だったわ。忘れてた」
「……!?」



