花鎖に甘咬み




「……いい加減うざってえな、ソレ」


青葉さんの腕が伸びてくる。
びっくりして、条件反射で目を閉じると。


────ベリベリベリッ。



「ったあ!」



口もとに突如、ヒリヒリした痛みが駆け抜けて、思わず悲鳴を上げる。そして、息がしやすくなって、遅れて気づく。


口を覆っていたテープが剥がされたんだと。



なにが起きたのかわからず、ぱちぱちと瞬きを繰り返して、青葉さんのことをじろじろ凝視する。



「な、なんで……」

「あ゛?」

「どうして、剥がしてくれたんですか……? さっき、ミユキさんは、だめって……」

「俺がミユキの言いなりになるワケねえだろ」




チッ、と舌打ちする。

ほんと、青葉さんとミユキさんってなんなんだろう。


傍から見ていると、まったくもって不思議な関係だ。いちおう……仲間ではあるんだよね?



「えと、なんで……。私、喋っていいんですか?」

「 “なんで なんで” うるせえな。お前が喋れねえと暇なんだよ、ミユキが戻ってくるまで。俺は一方通行は嫌いだ」

「……えと」

「お前もなにか喋れ」



と、言われましても。

そんな無茶な振り方されたって、なにを話せばいいか、わからない。