花鎖に甘咬み



そして、どうやらふたりの仲はそんなに良くはないみたい。さっきからずっと終わらない言い合いを続けている。


そして、そんなふたりは〈白〉の────……?


疑問に思ったタイミングで、青葉さんが見計らったように口を開いた。



「俺らは、〈白〉の参謀」



さんぼう……?

ちょっと何言ってるかわかんないです、という顔をしているとそれを察したミユキさんが青葉さんの頭を軽く小突く。



「別に、“参謀” ってポジションが明確に存在しているわけじゃない。アオが勝手に自称してるだけ」

「……?」



ますますわからない。

困惑していると、ミユキさんがふーっと息をついた。それから、心底面倒そうな表情で説明してくれる。



「〈赤〉と〈白〉は根本的に組織の体制が違う。〈赤〉は序列がきっちりついてるでしょ。トップに一ノ瀬燈(いちのせあかり)、ナンバー2が〈猛獣〉────ちがった、今は宍戸花織か。それで、その次が残りの幹部っていう風にピラミッドになってる」


組織としてあるべき姿だね、とミユキさんは付け加えた。



「対して、〈白〉は、そんなお綺麗にまとまってない。そもそも性格が違うからね。生ぬるい仲間意識で繋がる〈赤〉とは別物の、個人主義の集団だ。序列もない、みんな好き勝手に動く。……ただ、〈白〉にはたったひとり、絶対的な(トップ)がいるんだよ」



ミユキさんが宙を軽くにらんだ。



「ソイツの言うことは絶対。ただ、個人主義のメンバーばかりだからね。その中で、ボクとアオが珍しくソイツに対して素直で従順なだけ。それをこのバカは生意気に“参謀”とか言っちゃってんの」



最後の方は、青葉さんに対するただの悪口だった。

懲りないな。




……でも、わかった。

ともかく、ミユキさんにしろ青葉さんにしろ、〈白〉の中心にいるメンバーだってことだ。