花鎖に甘咬み




伊織さんの言葉が重みを持って、心にずしんと落ちてくる。

思わず考えこんでいると、「はい」と目の前にお皿を差し出された。



「どうぞ、召し上がれ」

「わ……!」



黄色い卵でおおわれた山に、つやつやの餡がかかっている。

はらぺこには飯テロな見た目の、伊織さんお手製・天津飯。


両手を合わせて。



「いただきます」

「うん、冷めないうちに」



スプーンですくって一口、ぱくり。

絶妙な具合に火の通った卵が舌の上でじゅわっととろけていく。



「お、おいしいです……! すごく!」



あまりの美味しさに目をまるくする。

これはすごい。ミシュランも狙えるレベルだ。私だったら三ツ星をつける。すっごくおいしい。


感動していると、伊織さんが口角を上げた。



「ほんと? 嬉しい。よかったらこっちのスープもどーぞ」

「いいんですか……!?」



一瞬にして餌付けされてしまった。

ほどよく酸味の効いた中華スープも、天津飯に負けず劣らず最高においしい。空腹にしみわたる味だ。