「あと……?」
「うん。歯形ね」
「はがた……っ?!」
「どーせ、マユのでしょ。しかも、ふたつも付いてる。ほんとに心当たりない? 噛まれなかった?」
そう言われると、ぶわぶわと記憶がよみがえってくる。
『〜〜〜っ、たぁ……っ!』
そうだ、あのとき、たしか。
『なんで、噛んだの……っ!?!?』
『嫌だったか?』
『イヤ、とかじゃなくて……びっくりするの!! いきなり噛みつかれたら、ふつうびっくりする!!』
『びっくりするくらいなら、いいだろ別に』
伊織さんの言うことがほんとうなら。
あのときの歯形、が、首に付いたまま……。
それってなんだかすごく恥ずかしいことな気がする……!
慌てて首もとを手のひらで覆い隠して、かああああ、と顔中赤らめた。
「あれ、今さらその反応なの? ポニーテールにしてて丸見えだったから、知ってて見せつけに来たのかと思ってたけど」
「なっ、そんなわけ……っ」
あれ……。
でも、私はともかく真弓はわかってたはずだよね……?
なんで教えてくれなかったの……っ!?
非難するべく真弓をじろりと見上げるけれど、まったくのポーカーフェイスで躱されてしまう。
「わ、私は知らなかったんです、だって、自分じゃあ見えないし……」
「そう。鏡、貸そうか?」
「えっ」



