「……え?」
「美空、何も気付かない? 佑影の事」
「……佑影?」
あたしは視線を横に流す。
隣の席の佑影は朝からずっと机に伏せて眠っている。
「佑影、なんで今日、手ケガしてると思う?」
「……え? ケガ?」
言われるまで気付かなかった。
隠すようにして寝てるけど、佑影の左手には白い包帯が巻かれている。
「昨日、美空がカミツキガメに噛まれそうになったのを佑影がとっさに庇ったからだよ」
「……え⁉︎」
「口止めされてたから言わなかったけど、美空がバイト始めてからずっと、佑影は美空のバイトの様子を見てたんだよ?」
「……ええ⁉︎」
「佑影にとって美空は特別なんだよ。 初めて出来た友達が美空だし、 仲間だし、 恩人だし。 美空がいなかったらきっと今も闇の世界で生きてたと思う。 感謝……してるんだよ」
「…………」
「だから王子だけじゃない、佑影も美空の事を気にかけてる。 その事も忘れないで?」
寂しそうにグリムが言う。
……そんな……
あたしは呆然と隣を見る。
そして、
「——佑影っ!!」
おもわず耳元で大声で叫んだ。
「……っ!!」
ビクッと佑影が飛び起きる。


