「……しかし、最初に会った時よりはずいぶん表情が出ていましたよ。 彼の言う通り、いずれは解消するでしょうからゆっくり待ってみてはいかがでしょう……」
「……やっぱり、 あたしの……」
「ああ、いえ……奏太の言う事はあまり気になさらぬように……!」
「…………」
「それで、湧人くんが言ってくる事とは?」
取り繕うように一樹が話を戻してきた。
「……? 言ってくる?」
「ええ、先ほどの話の続きです。 湧人くんが美空に何を言ってくると?」
「あ〜、」
思い出してあたしはうなずく。
「湧人が、あたしのこと好きだって」
「——ブッ!」
奏太が何か吐き出した。
「今日、学校の屋上と、湧人の家で言われたんだ。友達よりも好きだって、ずっとずっと好きだったって」
「……っ、」
「……告白、ですか……」
「何度もあたしに言ってくるんだ。 それで、よく分からなくて……」
「……分からないとは?」
「だって、あんな湧人は初めてだ。 前にもたしか言われたような気もするけど、その時はもっと照れたり困ったりの顔してたのに。 今日はすごく真剣で、まっすぐ気持ちを伝えてきて……」
「「…………」」
「でも、一番に分からないのは、友達よりも好きって湧人が言ったこと。 友達よりも好きって一体どういう事なの? 湧人、友達が好きじゃないのかな? あたしはみんなの事が好きなのに」
「……おいおい……」
「……それは困りましたね……」
二人は複雑そうな顔をする。


