SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を



「……どうして? 橘くん……」


そう言う少女は前に見たことのあるやつだった。

中庭で湧人と再会した時に、湧人を追いかけてきたショートボブのあの少女だ。


「……私の事、 一度は考えてくれたんじゃなかったの……?」


悲しそうに少女は声を震わせる。


「誤解させたならごめん。 でも、オレには好きな人がいる」


語尾を強め、はっきり湧人は口にした。


「……好きな人? もしかして、この間の……?」


「…………」


「……そんな、 だってあのコには彼氏が……」


「関係ないよ」


「……え?」


「たとえそうだとしてもオレの気持ちは変わらない。 好きなんだ……彼女だけが、ずっと……」


「……橘くん……?」


湧人を見上げ、少女は少し黙りこむ。

そのうち、諦めたように視線をガクッと下にさげた。


「……分かった……」


少女がその場を離れてゆく。

やがてパタンと扉が閉まると辺りは無音に包まれる……


「もう出てきていいよ」


湧人がこっちに振り向いた。