「……っ、」
ふと離れ、
「もうオレ以外とキスしちゃダメだから!」
怒ったように湧人が言う。
「……う、ん……」
そのままあさっての方を向いてしまった湧人はツンとして、なにやらブツブツ言いながら、何もない所から何かをちぎって投げ始めた……
「……なに? オレが悪いの? ……だよね、オレが……」
「……?」
「美空は何も悪くない。オレがデタラメ言ったから……」
「……?」
その姿がいつかの湧人を見ているようで、なんだか妙にムズムズする。
「——湧人!」
たまらずあたしは湧人の腕を引っ張った。
ハッとしてこっちを向いた湧人に、今度はあたしの方からキスをする。
「……っ⁉︎」
「もう湧人としかキスしないから怒らないで!」
驚いたように固まる湧人にそう言って、そのままぎゅっと抱きついた。
「……あのさぁ、それ、反則だから……」
「……え?」
「……キス。不意打ちすぎ……」
「だめ、だった?」
「ううん、だめ、じゃない……むしろ……」
「……?」
「むしろ大歓迎」
顔を上げたあたしに湧人は微笑む。
そのままゆっくり顔を近付けて、今度は優しいキスをした。
「好きだよ美空、大好きだ」
ハンカチの木の下、
あたしたちはついばむようなキスを何度か繰り返す……
——サワサワサワ……
風に吹かれ、葉っぱたちがきれいに庭に待っていた。
————————FIN.


