「……っ、」
「……なに? またどっか行く気?」
「……ちょっ、 湧人っ……」
「もうイヤなんだそういうのっ! 突然いなくなるなんてっ……」
「……くる、しっ……」
「嫌だ! 絶対離さない! そんな事されるぐらいならオレはっ……もうずっとこのままっ……美空をっ……!」
「……ううっ……苦しい……」
「……⁉︎ ……えっ……」
ようやく気付いたのか湧人がやっと力を弱める。
「ごめんっ! オレっ……」
「……ハア〜、」
胸に空いた隙間の部分であたしは大きく深呼吸した。
「……ごめん……」
申し訳なさそうな顔……
少し落ち着いたようにも見えるけど、それでもまだその手はあたしを離さない……
「ううん、いいけど。 ……でも、どうしたの急に……」
「……え?」
「分からないから戸惑ってるんだ。 湧人はあたしが大丈夫なの?」
「……大丈夫って……?」
「だって、あたし嫌われてた。 顔も見たくないって……」
「……っ、違うっ! あれはっ……!」
「……?」
「……オレが誤解してたんだ……だから違う。嫌いになんてなる訳……」
「……?」
「……酷いこと言ってごめん……ほんと後悔してるんだ……」
……う〜ん……?
「湧人が大丈夫なら……いいんだけど。 あたし、やっぱり気まずかったし。 できたら直接、渡したかったし……」
「……え?」
首を傾げる湧人の前、あたしはポケットからあるものを取り出す。
「はい」
それを湧人の胸に押しつけた。


