……なにか、あった……?


……風邪、ひいたのかな……?


遠くから見るだけのつもりが、いてもたってもいられなくて、あたしはバッグから急いでストールを引っ張りだす。


……これだけ……


……あとはすぐに……


足音を立てずにそうっと湧人に近付いて——


「……大丈夫……?」


ストールを湧人にかけてあげた。


「……!」


ビクッと湧人の体が揺れる……


「……寒い、の? ……あたし、ごめん。 すぐに行くから……」


すると、


——バッ!


引っ込めようとした手を湧人に素早くつかまれた。


「 ! 」


——えっ……


いつの間にか対面する格好になっている……


……ゆう——


「……っ、」


合わさる視線にあたしはおもわず目をそらす。


「——美空っ……」


そんなあたしを湧人は引き寄せ、ぎゅっと胸に抱きしめた。


——っ⁉︎


「……美空っ……美空っ……」


「……⁉︎」


「……美空っ……ごめんっ……美空っ……」


……なに……


あたしは訳が分からない。

まるで三週間前とは違う湧人。

湧人は声を震わせながら、少しの隙間もないぐらいあたしを強く抱きしめている。