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それから、あたしは黙々と部屋を片付けた。

途中、衣子が入ってきて、あたしの様子に眉を潜める……


「美空さま? 一体、何をしているんです?」


「あ〜、あたし、ここ出て行こうと思って。 今、荷物をまとめてたんだ」


「……っ! 何故そんな事っ!」


「あたしがいると湧人が嫌な思いするからだ。 これ以上嫌われたくないし、悲しませたくない」


「……っ、美空さまに出て行かれる方がよっぽど湧人さまは悲しまれます! わたくしは確信しました! 湧人さまは変わらず今も美空さまの事を想っていると! 

……だって湧人さまっ……雨の夜ずっと窓の外を気にして……濡れて帰って来られた美空さまを心配して……!

だから他のメイドにあたたかい何か夜食を届けるように言ったんです! だから……!」


「……?」


何故か熱くなっている衣子を見て、あたしは首を傾ける。

すると、


——チャリン……


持っていた服のポケットから小銭が落ちて転がった。


……あ、

あたしはそれを拾い上げる。


「良かった。足りない分、これでちょうどだ」


百円玉二枚を衣子に握らせた。