「佑影、普段滅多に顔に出さないからどうなんだろうって思ってたけど……なんか安心しちゃった♪」
「……うん?」
「だって、怒るって事は気持ちがあるって事でしょ? 好きじゃなかったら怒らないもん」
「……好き……?」
そうこうしているうちに佑影が生徒に紛れて見えなくなる。
「……あれ? ゆうか——」
————っ⁉︎
突然、変な感覚に襲われた。
押し寄せる胸のざわめきと共に意識が後ろへ引っ張られる。
一瞬かすった懐かしい香りがゆっくりあたしを振り向かせる……
「……?」
別に変わった所は見られなかった。
廊下で話す女の子たち、男子生徒たちがふざけて笑い合っている。
……なんだったんだろう、 今の……
すると、
「……見ちゃった……」
同じ方を向いていたグリムがぼんやりつぶやいた。
「グリム? どうしたの?」
「……うん、 今ね……きっとそう……」
「……え?」
「見ちゃったの! ほんの一瞬だったけど! 王子だよ王子っ……二人目の王子! 王子が今そこを通って行ったの!」
「……王子?」
「ウワサ通りのすっごい超絶美少年だった! 一人目の王子とはちょっと違うタイプの王子! クールで、でも儚げで! 目の色がちょっと変わってた! 吸い込まれそうなぐらいきれいな——」
「——グリム、あたし、もう王子はいいよ」
キラキラと目を輝かせるグリム。
あたしはうんざりしながらも、さっき感じた違和感の正体を探っていた。


