「……ん? 何が?」
「余裕がある。 あたしよりも、いっぱいいっぱい……余裕がある」
「……余裕?」
「うん」
「そんなのないよ。 美空の前じゃ、オレ……全然余裕なんてないから」
真顔で言い終えた湧人とピタリ視線が合う。
その吸い込まれそうなほどきれいな銀色に、あたしの頭はぼーっとなった。
「……湧人、 きれいな目、 してるね……」
「……ふっ、 美空それ、 今まで何回も言ってるね」
「だって本当にきれいだから。 もっと、見てもいい?」
「……いいけど……」
あたしは顔を近付ける。
宝石のような銀の瞳はまっすぐあたしを捉えている。
……と、
「……⁉︎」
何故か湧人もゆっくり顔を近付けてきた。
まるでそうするのが自然なように、すうっと距離を詰めてくる……
……えっと……
……これって……
首を少し傾かせ、唇がぶつかるまであと少し……
——ガラッ!
「あら? どうしたの?」
突然の声があたしたちを引き離した。
見れば保険の先生が腕組みしながらこっちを見ている。
「恋の病は先生には治せないのよ? だから他をあたってくれる?」
先生はニヤニヤしながらそう言った。


