「……え?」
「あれは美空だけって……そんなのがオレの中にはあってさ」
「……あたし、 だけ?」
「ほんと、 いつもドキドキさせられた。 初めて会った時から美空はいつも距離が近くて……」
「……うん?」
「オレ、 あの時まだガキだったからさ、 免疫なんてないし……だからどうしていいか分からなくて……」
「……?」
「美空に見つめられると……変に息が止まってた」
「……息が、 止まる?」
「今もそれは変わらない。 けど、あの頃よりはオレ、ちょっと進歩してるかな」
「……え?」
「美空が好き。 この気持ちを今はちゃんと美空に言えるから」
まっすぐに見つめたまま、最後はほんの少しだけ湧人は微笑む。
「……あ、」
そんな湧人に、あたしは少し戸惑った。
……まただ、 なんか胸がドキドキする……
さっきガキだったから免疫ないとか、 どうしていいか分からないとか、 変に息が止まるとか湧人はあたしに言ったけど……
今はあたしがそういう気持ちだ。
むしろ逆の立場に思えてしまう。
こんなにあたしが戸惑っているのに、湧人はドンと構えていて、余裕があるように見えている。
「いいなぁ、 湧人は」
おもわず口からこぼれてしまう。


