「「だって何だよ?」」
「あ〜、うん。 えっと、」
「なんだよ!」
「はっきりしろよ!」
「ほんとムカつく! アンタみたいなのが王子の視界に入るなんて!」
「王子も王子だよ、こんな性格ブスに瞳を許すなんてさ!」
「……え?」
「知らないの⁉︎ 王子はね、瞳を覗き込まれるのが一番嫌いだったんだよ!」
「なのにアンタは! 覗き込んでも嫌な顔一つされなくて、逆に王子がアンタを覗き込んでんじゃん!」
「……?」
……瞳を覗き込まれるのが、 嫌い……?
初めて聞く話にあたしは首を傾ける。
「なんで覗き込まれるのが嫌いなの?」
「知らねえし!」
「つか、こっち先輩だし! さっきからタメ口おかしいだろ!」
「ねえ、なんで?」
「だから知らねえし!」
「ズルいよな、自分ばっか王子にベタベタ触りやがって」
「…………」
あたしは少し考える。
あたしが気付かなかっただけで、本当は湧人、瞳を覗き込まれるのが昔からずっとイヤだったのだろうか……
すると、
「「……キャッ!」」
「「見て! 橘王子!」」
遠くから小さな悲鳴がわき起こる。
……あ。
湧人が長い連絡通路を歩いてる。
友達と何か話しながら、こっちに向かってやってきた。


