……まただ……


なんか胸がドキッとする。

息苦しいというかなんというか、 嫌な感じじゃ全然なくて……


……あえて言うなら、 そうだ……


小さかった湧人にたまに感じてたムズムズ感、

それが形を変えて大きくなって、胸を圧迫してるみたいな……


……変なの……


こんなの五年前にはなかったのに。



「……? どうかした?」


黙り込んだあたしに湧人が顔を覗き込む。


「……あ、ううん別に。 それより、やっぱりこの家大きいね」


あたしはとっさに話を戻した。


「そう?」


「変わった形してるし、 ここらへんは“コ”の字だし」


「オレ的には“コ”の字の造りなのは気に入ってる。 おかげでオレの部屋から美空の様子が分かるしね」


「……え?」


「……あっ、 別に監視とか覗いてる訳じゃないから! ただ、気配を感じて安心するっていうか……

美空、この間バイトで夜遅く帰って来ただろ? 

そういう時、部屋の明かりがついたのが見えて、ああ、帰って来たんだなって……無事に帰って来て良かったなって、思って……」


「……?」


そんな話をしていると、やっと玄関に辿り着く。


「「「行ってらっしゃいませ」」」


メイドさんたちに見送られ、あたしと湧人は家を出た。