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——コンコン。

「美空? 学校行こう?」


ノックと共にドア越しに湧人の声がする。


「うん!」


新しいバッグを肩に下げ、あたしは部屋を飛び出した。


湧人の家に来て数日……


あたしの生活スタイルは驚くほど様変わりした。

ここは生活するには本当に何の不自由もない、贅沢すぎるほどの広い家だ。

五年前あたしが住んでいたマンションよりも、中は高級感で溢れている。


「ねえ、 部屋どう? まだ何か足りないものがあったら言って? すぐに用意するから」


「大丈夫。 もう十分いっぱい足りてるよ」


湧人が用意してくれた部屋はゲストルームと呼ばれる部屋だった。

湧人の部屋よりは少しコンパクトだけど、それでも使い勝手が良く、洗面台やシャワーまで付いている。


「良かった。 それで……落ち着かないとかは、ない?」


「うん?」


「ほら、前に言ってたから。 美空、白が苦手だって。 だから壁紙も替えてみたんだけど……。 さすがに真っ赤なのはどうかなって思ってさ、 だから美空の好きな水色に……」


「あ〜、」


言われてあたしは納得する。

あの部屋、かなりくつろげている。


「……なんか不思議。 前のとこよりソワソワしないし、ここが本当にあたしの家みたい。 湧人が近くにいるからかな? すごく安心してるんだ」


すると湧人がピタッと足を止める。


「……美空、 それ本当?」


驚きの後、嬉しそうに微笑んだ。


「……う、ん……」