「それで何で……もしかしてここで寝てたの?」


「うん。 今日からここに住もうと思って」


「……はっ⁉︎」


「だって水もあるし、 生活するには困らない」


「……っ、 困るだろ! 着替えは⁉︎ 食事はどうするの⁉︎ 持ち物だって何も見当たらないけど?」


「あ〜そっか。 じゃあ、どうしよう」


首をひねるあたしの前、湧人は再び息を吐く。

それでもすぐにあたしと目を合わせ、


「オレの家に来なよ」


そうあたしに提案した。


「……え?」


「だって、ここじゃとても生活出来るとは思えないし。 このまま美空を放っておけないだろ?」


「……でも……」


「実はずっとそうしたいなって思ってたんだよね。 その方がオレは安心だし、もし何かあった時、いろいろ手助けも出来るだろうし」


「……だって、 いいの? 湧人に迷惑じゃない?」


「全然。 オレは大歓迎。 むしろ嬉しくて仕方ない」


ニコリと笑う湧人。

あたしもつられて笑ってる。


「……じゃ、 帰ろっか?」


湧人があたしの手を取った。


「……え? もう? 学校は? まだ授業前……」


「今は学校どころじゃないだろ? 美空、服とか髪とか焦げてるし、そんな格好じゃ授業なんてとても……」


「髪はちぎっちゃえば何とか……」


「あっ、だめだよ! あとでオレがちゃんと切るから!」


「……う、ん……」


「えっと、必要なもの……制服も持ち物も揃えなきゃいけないし、あとは……」


考えながら湧人は歩く……

その後は人に会わないようにコソコソ隠れながら、あたしたちは学校を出た……