「ちょっと待って! お姉さん!」


「いやっ! やめてっ! こっち来ないでっ!」


「なんで⁉︎ 急にどうしたの⁉︎」


「一体あなた何者なのっ⁉︎ さっきのとても人間技じゃないじゃないっ! 怖い怖い怖いっ!」


「そんな事より早く凌駕のとこに行こう⁉︎ 」


「……っ、それもイヤ! やっぱり私っ……今さら凌駕に会うなんてっ!」


「……えっ、待って! お姉さん!」



その後、あたしはひたすらお姉さんを追いかけまくり……

お姉さんはお姉さんで、さすがムエタイをやってるだけあって鍛えた脚力がはんぱなくて全力疾走で逃げまくり……


「……待って……」


思いがけず長時間の鬼ごっこみたいになってしまい、さすがにあたしも疲れてくる。


「……ハァ、ハァ、」


いつしかすっかり辺りは暗くなり……


……あれ?

夜の闇に紛れたのか、いつの間にかお姉さんの姿が消えている。


「……はあ〜、」


……しょうがない。

しるしの反応も消えてるし、この件はいったん保留にしておくか。


……それにしても……


あたしはキョロキョロ辺りを見回す。


「……ここ、 どこ……?」


不安定でESPが使えない中、あたしはかなりの時間歩き回った。