「……まだ、 怒ってる……?」
そんな湧人にあたしは更にもう一つ、
「分かった。 じゃあ、これが最後なんだけど」
大きな秘密を打ち明ける……
「……佑影ね、 実は……」
「……⁉︎」
「……ああ見えて佑影、 本当は……」
「……⁉︎」
「……佑影、 実は女なんだ!」
「——っ⁉︎」
石みたいに湧人がピシッと固まった。
「前に間違ってお風呂のドア開けちゃって、それで知ったんだ。 びっくりした……佑影、あたしより胸が大きくて。 普段はサラシいっぱい巻いてるから分からないんだけど……」
「……っ……」
「ああ、ついでに言うとグリムは男だ。 あの二人、見た目も中身も逆転してて……。 なんでも友達夫婦ってやつらしい。 何かの条件がぴったり合って、都合がいいってそれで……」
「……っ……」
「グリムが言うんだ……佑影、あたしが初めて出来た友達だし、恩人だし、特別な感情持ってるって。 親友として、あたしがすごく好きなんだって、それはもうグリムが嫉妬するぐらい……。
トレーニングの相手も女同士だから佑影がいいってみんな言ったし、だから遠慮なしでやれるんだ」
「……っ……」
「これで全部話したよ? だから湧人、もう怒らないで?」
「……っ……」
「ねえ、湧人?」
「……えっ……」
やっと動き出した湧人の態度がよそよそしい。
「どうしたの? まだ、怒ってるの?」
「……いや、 今……頭が混乱してて……」
「……?」
よく分からないけど、いつの間にかさっきと空気が変わっている。
何故かソワソワ落ち着かない湧人だけど……
張り詰めたトゲトゲしさがなくなった事に、あたしは内心ホッとしてる……
「ついでに今の湧人は幼いって思ってないよ? 幽霊じゃないけど幽霊みたいな小学生湧人が湧人にずっとつきまとってたんだ」
「……え?」
「あれはあたしにだけ見える幻影だった。 今までずっと大きくなった湧人に戸惑ってたから。
でも、それがさっき湧人の中に入ったから、もう湧人が湧人だけなんだ。
戸惑わないし、違和感なくなったから大丈夫」
「……へえ。 ……そっか……そう、だったんだ……」
その後もどこかぎこちない湧人と一緒に、その日の満月を無事に過ごした……


