「……どうして……」


「メールくれたろ⁉︎ “ た ” って。 もしかしてそれ、助けてって事なんじゃないかって……オレ、慌てて来てみたんだ」


……たすけて……?


……ああ、 そういえば……


あたしはぼんやり思い出す。

さっき、湧人からメールがきて、あたしは生まれて初めて湧人にメールを送っていた。

“たぬき”と送ったつもりが、どうやら一文字しか送られていなかったらしい。

熱でボーッとなりすぎてて全然さっぱり気が付かなかった。


「来て正解……どこか具合悪い? 大丈夫?」


確かめるように手があたしの額に触れてくる。


「……すごい熱……」


すぐに湧人がハッとした。


「待って、すぐに病院に——」
「——い、やだ……」


「……え、でもっ、」


「……いやだいやだ、 何もされたくない……病院だけは……」


後遺症のせいか昔の事が頭をよぎる。

拒絶反応が前に出た……


「……っ、」


仕方なく湧人はあたしを部屋の中へと運び入れる。


「分かった。 オレが看病するから美空はゆっくり休んでて……」


そう言うと、そっとベッドにあたしを寝かせ、その辺にあったタオルを水で濡らし、素早くあたしの額に置いた。