抵抗しようにも力が出ない。

強烈な負のエネルギーを放つこの針があたしの気力と体力を限界にまで奪っている。

そこへ、


————グワアアッ!


飛び回っていた得体の知れないさっきの主がついに姿を現した。

それはザラザラの黒い砂粒状のものが人の形となったもの……


《 “ 死ねエッ……CK-1ッ! ” 》


顔だけのソレが風を巻き込みながら一気にあたしに迫ってきた。


“ ウ゛オオオオ——ンッ……!!”


……だめだ、 やられる……


すると、


————ウ゛ァンッ!


何かがあたしの前に立ちはだかった。

壁となった黒い影、

それがさっきの大きな顔と周りの死霊とを自分の中に取り込みながら、ゆっくり浄化させてゆく……


「……ぐっ、」


影が地面に膝をついた。

よほどキツイ作業だったのか、ひどく息が乱れている。

しかし、なんとか持ち直し、あたしの方に振り返った……


「……ゆう、 かげ……」


それは影と化した佑影だった。

佑影は倒れたままのあたしをスッと抱き上げる。


「……チッ、」


そのままあたしを家まで運んだ。