「自分の力で何とかしようって、そう思って頑張るのはいい事だと思うよ。すごい事だとも思う……でも、頑張りすぎるのはちょっと……」
「……?」
「迷惑かけたくないって思うのかもしれないけど、周りは美空が思うほど迷惑だなんて思ってないし、むしろ頼ってくれた方が……言ってくれた方がオレはうれしい」
「……うれしい?」
「だから、困った事があれば遠慮しないで何でも言って欲しいんだ」
「…………」
もうとっくに信号は変わっている。
二度目の赤信号を横目にあたしは首を傾ける……
「……ごめん、あたし。 別に遠慮してる訳じゃないんだけど、時間が経つと忘れちゃうっていうか……。 確かに何か困っていた気がするんだけど……でも、本当に何でも言っていいの?」
「うん、何でも」
「じゃあ待って、思い出す……なんだったっけ……あたし、えっと……」
「…………」
「困った事、困った事……あれ、 ……そういえば…………あっ!」
やっとあたしは思い出した。
「そうだそうだ、そうだった……そういえば、あたしすごく困ってるんだ……」
「……? なに?」
「湧人、 今から時間ある? あたしの家に来てほしいんだけど」
「……え⁉︎」
「だめ、 かなあ?」
「……だめ、 じゃないけど……いいの?」
「うん、来て! あたしすごく困ってるんだ!」
青信号。
あたしは湧人を連れて家に帰った。


