「……そんなっ……それはやっぱり、 忘れられない人がいるから……?」
「ああ、そうだよ。 だから他に目がいかない。 オレは美空しか見えてない」
「……へ?」
「……橘? なんか話が矛盾して……」
「忘れられなかった……ずっと。 だから生きてたって分かった時は本当に驚いて、嬉しくて……」
「……⁉︎」
「……それって、 まさかっ……」
「手違いで死んだと聞かされてたんだ。 オレと美空は幼馴染で、 オレはガキの頃からずっと美空が好きだった」
「「「「「……っっ……」」」」」
途端にみんなの表情が固まる……
「美空、こっち」
その隙に湧人があたしを座席から立たせて自分の方に引き寄せた。
「もう二度とこんな事しないでくれる? 美空は何も悪くないし、オレが一方的に美空を好きなだけだから」
「「「「「……っっ……」」」」」
「それと、ファンクラブはもう解散して欲しい。オレのせいでまた美空に迷惑かけたくないから」
「「「「「……っっ……」」」」」
「行こう、美空」
湧人があたしの腕をひく。
「……ああ、 うん……」
「……橘くんっ、 あのっ……」
「諦めろのぞみ……どう見たって勝ち目ないよ……」
後ろの幼馴染、二人の声を聞きながら、あたしは湧人とお店を出た。


