「……ふぅ、」


あたしは芝生に寝転がる。

散りばめられた星を見てると意識がそこへ引っ張られる。


「……まったく佑影は……」


呆れたようにグリムが隣へやってきた。


——世田グリム


こいつは動物や植物と会話が出来る能力者だった。

丸顔にショートカットの眼鏡、佑影とは真逆のタイプのグリムの性格は穏やかで、全身からは優しさが滲み出ている。

それでもたまに見せる言動が周りの人間を驚かせた。


「ほんと遠慮ないんだから。美空は彼女なのに……ね?」


いたずらっぽくグリムが笑う。

すると風もないのに木々たちが一斉にザワザワ音を鳴らした。


……彼女、か。


「でも、だいぶ助かる。佑影強いし。あとはみんな……」


「だよね〜、みんな美空に甘いんだもん。手加減ばっかして、全然トレーニングにならないもんね〜」


言いながらグリムも寝転がる。


「それで? また昔のこと考えてたの?」


「……え゛っ?」


図星を突かれておもわず変な声が出た。