……?
その目は以前の自信満々な感じではなく、ほんの少しだけためらいがある。
「……とはいえ、一度は諦めてやろうと思っていた。 全く、まさかあいつ……橘まで出てくるとは……」
目をそらし、男は“ハァ”と息を吐いた。
「……え?」
「他の奴ならともかく……あいつに出てこられてはオレも只では済まないからな」
「……なんなの? 湧人が、何かしたの?」
「……まあ、ひとたび敵だと認識すれば冷淡になるのは違いない……こうなってはよほど注意しなければこっちが命取りになる……」
スッと壁から手が離れる……
反転し、男は力なくもたれかかった。
「……どう言う事?」
「もう強引には出来なくなった……という事だ。お前にとっては良かっただろうがオレは相当参っている……」
「……え?」
「頭では分かっているが、どうしてもお前を諦めきれなくてな。 だから頼む、オレにチャンスをくれないか……」
「……チャンス?」


