気がつくとずいぶん地上に近づいていた地上まで20メートルぐらいだろうか?
この位置からだと男性と女性の区別がつくほどまでに近づいていた。
日本人が群れで固まって動いている。誰も私に気がついていない。
“ドクン”
それを見た瞬間に心臓が一度だけ高く鼓動した。
“ドクン ドクン ドクン”
もう一度確認すると心臓は三度大きな音を立てた。
「なに・・・これ?なにしているのよ?」
人々の群れは殺し合っていた。
体中の血液が一瞬にして沸騰した。
人間は殺人者の目をして目の前にいる人間を殺す光景だった。
鼻に強烈な臭いが入ってきて咳き込む。
「どうして?」
赤土色の地面には血まみれた死体で埋め尽くされていた。
まるで壊れたマネキンが大量に不法投棄されているような光景だった。
人々は狂気に満ち奇声を上げながら殺しあうぇ
「うりぃぃぃぃっ!ちねぇぇぇぇっ!」
”ドゴゴゴゴ”という大量の足音が耳を貫く。
坊主頭の少年は大人に首を絞められて十秒もたたない内に動かなくなった。
抵抗しようと全身の力を振り絞るが糸が切れるようにガクリと事切れる。
そうか、こうやって人間は死んでいくんだ。
意外とあっけなく。