今日も貧しい中東で自爆テロが起きた。
「自爆テロを起こしたのは12才の少年でした。幼い命が自爆テロという形で他人の命を奪い自分の命も失う・・・得られる物はなにかあるのでしょうか?とても残念です」
今日も眼鏡を掛けた端正な顔のニュースキャスターは悲しい顔をしていた。
ニュースキャスターは、ひとつ間を置く。
「平和な世界はいつ来るのでしょうか・・・次のニュースです」
テレビを消して震える体を抑える。
「あのね、この頭痛と同じで痛みが消える事はないんだよ。だって人間は、いつもなにかの痛みを抱えているじゃないか。平和な世界なんて来ないんだよ。本当は知っているんでしょ?平和なんてどこにもない事を。それが幻想だって事を」
だから私は祈り続ける。
”世界が平和になりますように”
6才から毎年、短冊にこの言葉を書き続けた。
今でも本気で思っているんだ、世界平和という現実を。
「58209749445923078164」
この円周率と同じように人の愛も永遠に続いていくんだよ。
希望はきっと円周率の中にあると信じているから覚えたんだ。
”ブブブブ”
羽音を立てて蛾がテディベアのレイナの頭の上に降りた。
レイナがリボンを付けているみたいで可愛らしかった
「ウフフフ・・・そうだ」
その姿を写メールで取ろうと思ったのだが体を動かした瞬間に蛾は音も立てずにふわりと薄暗い玄関の方に飛んでいってしまった。