黒く焼け焦げた地面を踏みしめて。

哲平は背を向ける。

「行こう、ななみ、黛さん。長居すると機関の連中に居場所を特定される」

「あ…」

その哲平の背中に、俺は小さく声を上げる。

…異形者を倒したところで、哲平達覚醒者の戦いは終わっていない。

機関を壊滅させるまで、哲平達の逃避行は続く。

「哲平!」

俺は哲平を呼びとめようとして。

「!」

メグに肩を叩かれ、それを制された。

…魔女には魔女の戦いがあるように。

騎士には騎士の戦いがあるように。

覚醒者にもまた、彼らの戦いがある。

こうして時には交わる事があっても、それぞれの戦い、それぞれの道には介入する事は許されない。

進む道は違えど、それが日常からかけ離れた世界に生きる、俺達の運命だった。